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部から北部には時計回りの潮汐残差流が見られ、沖の瀬を中心に時計回りに回っている。
case4の場合には、case0の地形の潮汐残差流と比較すると、大阪湾の広範囲にわたって残差流は変化を被り、乱されているのが分かる。
FiG-6.は、浮標ボールを追跡して得た、大阪の満潮時を起点にした氷粒子の1潮汐周期間の実質変位をベクトル的に示したものである時計回りのベクトルが認められ、明石海峡の地形効果による時計回りの潮汐残差流が反映されている。case4の地形の場合の氷粒子の1潮汐周期間の実質変位は、case0の地形のものと比べると、泉佐野沖の埋立による人工島の南西側で変位が小さくなる領域が現れるが、このことは流速計によって計測した残差流についての結果においても残差流の大きさが小さくなることにみられている。
次に地形変化の大阪湾奥における潮汐残差流に及ぼす影響について述べるFiG-7.は、大阪湾の湾奥における潮汐残差流の大きさの分布を示している。大阪湾の湾奥では、時計回りの潮汐残差流の大きさが小さくなり、明石海峡の地形効果による潮汐残差流は湾奥まで届いていない。case4の地形においては、3cm/sから5cm/sの等値線は、case0の地形におけるよりも湾中央に移動しており、明石海峡の地形効果による潮汐残差流が湾奥に届かなくなっていることを示している。
同じことを別の角度から示したものがFiG-8.であるcase4の大阪湾の湾奥における潮汐残差流の大きさのcase0における大きさからの差を示している。case4の場合には大阪湾奥で潮汐残差流の大きさはcase0における値よりも減少していることが分かる。これらの結果は、大阪湾

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FiG-8. Deviations from magnitude of residual flow in case0.units are in centimeters per second.

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FiG-9. Vorticity of residual f1ow.Units are in s-1×10-5.

の地形変化によって明石海峡の地形効果による時計回りの潮汐残差流が大阪湾の湾奥まで届く程度が変化し得ることを示している。
FiG-9.は、大阪湾の潮汐残差流の渦度を示したものである。負の渦度は、時計回りの回転を表している。case0の地形においては明石海峡で獲得されたと思われる負の渦度が残差流に沿ってドーナッツ状に分布している。case4の地形における大阪湾中央における残差流の負の渦度の領域は、case0と比較すると縮小する一方、泉佐野沖の埋立による人工島周辺で、負の渦度の大きな領域が現れている。
3−3. 海水交換特性
以上で述べた大阪湾の流況の変化から、大阪湾の湾奥においては、大阪湾の地形変化によって海水交換特性に変化が生じることが予想される。そこで、

 

 

 

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